詩: 思うより優しく無関係な世界
貴方のいる世界は貴方のものだった
当たり前だろう、全てを貴方が支配している
色も匂いも音も 私がこぼした言葉の意味さえ
その世界で正しいのは貴方だけ
色も匂いも音も 私という人物さえ偽り
それは貴方の間違い 貴方の作った模造品
私はそんな人間じゃない
思い込みの世界で生きるのは楽だろう たとえ酷い世界でも
悪臭だって罵声だって分かっているからね
美しく正しく貴方を裁く私なら初めから期待なんてしないだろう
現実より恐ろしい世界はないんだ
けれど本当の私はそこにしかいない
どうかこの言葉がまっすぐ貴方に届くようにと願うよ 世界はきっともう少し貴方に優しい
詩: エーデルワイス
あちらこちらと壊れていく なにかどうしようもないほど
ねぇ待って、声をあげても 返事もなく静かに
なんにもないふりをした こんなにも重いのに
鳥がはばたいて ほんとうは朝だと知った
あちらこちらと崩れている なにかどうでもいいほど
おはよう、声はでるのに 言いたいこともなく静か
なんにもなくなった 重たいのは無視した
その辺に寝転んで 青空を見ていた
軋んだ街とひび割れた風景 誰もいない静かな丘
溶けるように消えた そういえば笑っていた
朝露が音をたてて落ちた その下に花が咲いていた
これがあなたのぜんぶ なんにもないわたしのぜんぶ
溶けて消える