ウキクサバチdays

ふらっと気ままに詩とか散文をのせるとこ

散文: ほら吹きと宝物

あれもほしい これもほしいだなんて
ラクタから宝石まで全部 同じように抱きしめていた
そんな可愛らしい昔を思い出しては なんともいえない気持ちになるよ

全部なんて無理なんだって 抱いた腕の中でぶつかりあって壊れてしまうんだって
気づいたのはいつだったかなぁ
泣きながらたった一つを選んで これだけは失うものかと強く強く抱きしめた
あの時僕はどんな目をしていたのかなぁ

守られなくなって初めて知ったんだ そのたった一つですら簡単になくなってしまうんだ
一人になってやっと分かったんだ 何かを守り通すって汚れ仕事なんだ

幼いころの僕 何も知らない幸せな僕
君は誰かのたった一つだった
無邪気な僕 守られていた僕
誰かは君のために汚れていた
そんな君が汚れた僕を非難できるかい? そんな権利はないだろう

僕は笑った そんな気分だった
頑張ってるんだよ 汚れ仕事も我慢してさ
誇らしかった でも同時に馬鹿らしかった
結局汚れてるんだよ 酷いことたくさんしたんだよ
周りから見れば汚い人間さ そうだ同情はいらない

住む世界とやらが違うんだ つまりそれだけのことさ
たった一人でたった一つのもの 何をしてでも離さないよ
だから周りは関係ないのさ 嘲笑も罵声も届かないよ

ただそうだ 幼い僕だけが敵なんだ
ラクタから宝石まで全部抱えて 不思議そうな目で
ごめんなさい 僕は呟いた
腕の中のたった一つが 壊れる音を聞いた

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