ウキクサバチdays

ふらっと気ままに詩とか散文をのせるとこ

詩: 海色の稲妻

真っ青な空に 透明な空気に
拒絶されて飛べない俺を

世界をひっくり返してしまえば
誰でも簡単に青に飛べると

海へ連れてきたのはあなたでした


太陽に反射して光る波が
なぜか懐かしくて

炭酸水の泡のようにはじける
笑った瞳がガラスのように遠くて

さびしかった



深い青の冷たさを 声にならない透明を
抱えこんで溺れそうな俺と

落ち着いて上を見ていれば
太陽の光が見えると

手をつないでくれたのはあなたでした


水面に揺らめく光が
どこか懐かしくて

果実水の実のように沈む
横顔が人形のように静かで

さびしかった



そんなさびしさを抱えて
こんなさびしさを抱えて
俺は空へと還ってゆくんだな

三人でたゆたった青とはちがう
ひとりで溶けていくこの青が
どうかあなたたちにも
綺麗にみえますように

青空に海色の稲妻
隔てる透明を裂いてつなぐ雷


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詩: 別れ道

ずっと一緒だと当たり前のように思っていたのに
ふと気づいたら別れのときだった

繋いだ手はひどくあっさり離れてしまって
離ればなれでも不自由なく生きていける
それがすごく寂しい

繋いだ手の温もりなんかきっとすぐに忘れちゃうんだろう
僕がいなくても笑顔でいられるんだろう

でもたまには僕を思い出してよ
僕と君、共に過ごしたあの日々を

それだけでじゅうぶん
僕ら一緒にいたことに意味があったと言える

握った手
握り返した手に
得られたものがあったと
確かに

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散文: ほら吹きと宝物

あれもほしい これもほしいだなんて
ラクタから宝石まで全部 同じように抱きしめていた
そんな可愛らしい昔を思い出しては なんともいえない気持ちになるよ

全部なんて無理なんだって 抱いた腕の中でぶつかりあって壊れてしまうんだって
気づいたのはいつだったかなぁ
泣きながらたった一つを選んで これだけは失うものかと強く強く抱きしめた
あの時僕はどんな目をしていたのかなぁ

守られなくなって初めて知ったんだ そのたった一つですら簡単になくなってしまうんだ
一人になってやっと分かったんだ 何かを守り通すって汚れ仕事なんだ

幼いころの僕 何も知らない幸せな僕
君は誰かのたった一つだった
無邪気な僕 守られていた僕
誰かは君のために汚れていた
そんな君が汚れた僕を非難できるかい? そんな権利はないだろう

僕は笑った そんな気分だった
頑張ってるんだよ 汚れ仕事も我慢してさ
誇らしかった でも同時に馬鹿らしかった
結局汚れてるんだよ 酷いことたくさんしたんだよ
周りから見れば汚い人間さ そうだ同情はいらない

住む世界とやらが違うんだ つまりそれだけのことさ
たった一人でたった一つのもの 何をしてでも離さないよ
だから周りは関係ないのさ 嘲笑も罵声も届かないよ

ただそうだ 幼い僕だけが敵なんだ
ラクタから宝石まで全部抱えて 不思議そうな目で
ごめんなさい 僕は呟いた
腕の中のたった一つが 壊れる音を聞いた

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詩: 大人のぬり絵

色鉛筆が転がる
ぬり絵をする私の手元

色も長さもそれぞれで
転がる方もばらばらで
まるで私たちみたいだね

色を重ねるほど美しく見える
私たちもそうだといいね

最後にきれいに整列させて
欠けている色はないなと確認

素敵な絵になりますように

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詩: 綴り舟

だれかが馬鹿にした言葉って奴を
ぼくは必死に綴っていた

真白の海の小舟のように
陸に着くまでに大破が常だ

残骸だけがこの岸辺に
それで十分と飽くことなく

ところがある日この岸辺に
だれかの綴った小舟が着いた

ぼくが諦めていた言葉って奴で
だれかはここまで届かせたのだ

真白の海の小舟で十分
陸に着くまでにボロになろうと

残骸だけでもその岸辺に
ぼくは必死で綴っている

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